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令和8年度 介護処遇改善加算の大改定

令和8年度 介護処遇改善加算の大改定

介護・障害福祉

2025年の介護報酬改定を経て、令和8年度はさらに踏み込んだ処遇改善の仕組みが始まります。
単なる「賃上げ補助」の話ではありません。加算の取り方次第で、事業所の採用力・定着率・経営体力に大きな差が生まれる、まさに「経営の分岐点」となる改定です。

今回は、経営者・管理者の方が押さえておくべきポイントを整理しました。


① 「介護職員だけ」の時代が終わる——対象者の大幅拡大

これまで処遇改善加算の恩恵を直接受けてきたのは、主に現場の介護職員でした。しかし令和8年度からは、その枠組みが根本から変わります。

ケアマネジャー、看護職員、事務スタッフ——職種を問わず、事業所で働くすべての介護従事者が、月額1万円(約3.3%)のベースアップの対象となります。さらに生産性向上や協働化に積極的に取り組む事業所であれば、介護職員にはそこから0.7万円が上乗せされ、定期昇給分を合わせると最大月1.9万円(約6.3%)の賃上げを実現できる計算です。

多職種が一体となって働く介護現場において、「職種によって処遇に差がある」ことへの不満は、離職の大きな要因のひとつでした。この改定はその問題に正面から向き合うものといえます。


② ベースアップが大原則

加算額に相当する賃上げは、基本給や毎月支払われる手当によるベースアップを基本とすることが求められます。賞与などの一時金を活用すること自体は認められていますが、それはあくまで「賃金制度の整備が追いついていない場合の経過的な対応」という位置付けです。

さらに昨年度と比較した増額分については、過去の賃上げ実績にかかわらず、新たな賃上げとして従業員に還元するよう求められている点です。「昔から給与が高いから今年は据え置き」というわけにはいきません。

また、「処遇改善加算Ⅳの加算額の2分の1以上を、月額賃金の改善に充てること」という月額賃金改善要件も設けられており、賃金規程の見直しは避けて通れません。早めの対応が求められます。


③ 新区分「Ⅰロ」「Ⅱロ」の登場

今改定で最も注目すべき変化のひとつが、加算区分の新設です。

従来の加算区分に加えて、「令和8年度特例要件」と呼ばれる生産性向上・協働化の取組を行う事業所が取得できる上位区分「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」が設定されます。

特例要件として認められる取組の例は次のとおりです。

  • 訪問・通所系サービス:ケアプランデータ連携システムへの加入(または加入誓約)
  • 施設・居住系サービス:生産性向上推進体制加算(ⅠまたはⅡ)の算定(または算定誓約)
  • 全サービス共通:社会福祉連携推進法人への所属

いずれも「すぐに完了する」ものではありませんが、加入手続き・算定誓約という形を示すことで要件を満たせる仕組みになっています。まずは自事業所で対応可能なものを確認し、早期に行動に移すことが重要です。

なお、ケアプランデータ連携システムについては、国の介護保険資格確認ウェブサービスが構築されるまで、加入後の無料期間が継続されることが明記されています。初期費用のハードルが下がっている今こそ、検討を進めるタイミングといえるでしょう。


④ 新たなサービスにも門戸が開く

令和8年度から、処遇改善加算の対象に新たなサービスが加わります。

サービス種別加算率
訪問看護1.8%
訪問リハビリテーション1.5%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%

これらのサービス単独で運営している事業者にとっては、今回が初めての加算取得のチャンスです。計画書の提出期限や算定要件を早めに確認しておきましょう。


⑤ 年度内誓約による要件緩和

処遇改善加算を取得するには、本来「キャリアパス要件(賃金体系の整備・研修制度・昇給の仕組み・年額440万円以上の賃金設定など)」や「職場環境等要件」を事前に満たしておく必要があります。

しかし今改定では、令和8年度特例要件(生産性向上・協働化の取組)を満たしている事業所に限り、申請時点でこれらの要件が完全に整っていなくても、「令和8年度中(令和9年3月末まで)に整備・実施する」と計画書で誓約することで、要件を満たしているものとして取り扱われます。

初めて加算を取得しようとする事業所や、より上位区分に挑戦したい事業所にとって、この緩和措置は大きな後押しになります。ただし、年度内に実際に整備・実施することが前提です。誓約した内容を計画的に実行していく体制を整えることが不可欠です。


⑥ 提出期限

書類の提出期限は、取得する加算の種類や変更内容によって異なります。遅れると加算の開始が数ヶ月先送りになってしまうケースもあります。

【体制届の提出期限】

  • 4月から区分変更する場合:4月1日まで(4月15日までも可)
  • 6月から区分変更または訪問看護等が新たに加算対象となる場合:居宅系は5月15日まで、施設系は6月1日まで
  • 6月から新たに加算を取得する場合:5月15日まで(6月15日までも可)

【計画書の提出期限】

  • 全サービス共通:4月1日まで(4月15日まで猶予) ※4月・5月分と6月以降分をあわせて提出
  • 訪問看護・居宅介護支援等、新規対象サービスのみの事業者:6月15日まで

なお、具体的な期日や提出方法は自治体によって異なります。必ず各都道府県・市区町村の担当窓口や公式サイトで最新情報を確認してください。


今すぐ確認すべきこと

今回の改定は「もらえる加算が増えた」という話にとどまりません。誰に・いくら・どのような方法で還元するかを設計し直す必要があります。

まずは以下の点を確認することをお勧めします。

  1. 現在取得している加算区分と、上位区分への移行可能性
  2. 生産性向上の特例要件(ケアプランデータ連携システム等)への対応状況
  3. 賃金規程の整備状況(月額賃金改善要件への対応)
  4. 計画書・体制届の提出期限(自治体への確認)
  5. 新たに加算対象となるサービスの有無

賃金制度の見直しや書類の準備には、相応のリードタイムが必要です。「どうせ後でいい」と先送りにするのではなく、今から動き出すことが、従業員の信頼と事業所の競争力を守ることに直結します

ご不明な点やご相談は、ぜひお気軽にお声がけください。


※本記事は令和8年度介護報酬改定に関する通知・審議会資料をもとに作成しています。詳細は厚生労働省や各都道府県の最新情報をご確認ください。

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